不登校の子どもを支えながら、『そろそろ限界かも』としんどさを感じている方もいるのではないでしょうか。
不登校の子どもがいると、親にも一定の負担がかかります。
気力や体力に自信がある方でも、しんどいと感じることがあります。
ここでは、不登校の子どもを支える親がしんどさを感じる理由、しんどさを乗り越える方法、不登校の子どもに親ができることなどを解説しています。
毎日が辛い方は、参考にしてください。
不登校の子どもを持つ親はしんどい
不登校の子どもを支える親は、精神的な負担を感じることが少なくありません。
例えば「私の育て方が悪かった」などと、自分を責めてしまうことがあります。
また、周囲の人は子どもの心配を優先し、親の負担に目を向けることが少ないようです。
辛い気持ちで毎日頑張っていても、ねぎらいの言葉をかけられることは少ないでしょう。
不登校の親は悪くない
不登校の子どもをもつ親は、不登校の原因を自分に求めがちです。
親は、現実を受け止めようとして、納得できる原因を手近な範囲から見つけたくなることがあります。
しかし、子どもの不登校に親が直接的に関与しているとは限りません。
文部科学省が発表している通り、不登校の原因は多岐にわたります。
また多くの場合、単一の原因で起きているわけでもありません。
親の関わり方がきっかけになることはありますが、環境次第でどの子どもにも起こりうる出来事です。
「育て方が悪かった」などと考えて、自分を責める必要はありません。
出典:文部科学省「不登校の要因分析に関する調査研究 報告書」
https://www.mext.go.jp/content/20240322-mxt_jidou02-000028870_02.pdf
不登校の親が疲れてしまう原因
続いて、不登校の子どもをもつ親が疲れてしまう主な原因を紹介します。
子どもに極端に気を使ってしまう
不登校になる子どもの多くは、心身が疲れ切っています。
この期間は、子どもにとっての充電期間と考えられます。
この点を理解していると「傷ついている子どもをさらに傷つけないように」「疲れている子どもに余計な負担をかけないように」などと考えて、気を使いすぎてしまうことがあります。
家庭は、親にとっても気を休められる場所です。
長期間にわたり、気を休められないと疲れてしまいます。
何とかしようと頑張りすぎてしまう
子どもが不登校になると、多くの親は何とかしたいと考えて行動します。
具体的には、書籍やインターネットで情報を集めたり、学校へ相談したり、フリースクールを探したりすることが多いでしょう。
仕事、家事、子育てなどと並行して、これらを行うと大きな負担がかかってしまいます。
さらに、頑張りが結果に結びつかない場合もあります。
子どもを取り巻く環境がすぐに変わらないため、努力した分だけ落胆してしまうケースも考えられます。
頑張りすぎると、心身ともに疲れてしまいます。
不登校について長い時間悩んでしまう
子どもが不登校になると、さまざまな不安がよぎります。
例えば、次のように思い悩んでしまうことがあります。
【不安の例】
- このまま学校に戻れないのでは
- 勉強や進路はどうすればよいの
- 子どもは元気を取り戻せるの
朝起きてから夜寝るまで、子どもの不登校について考えてしまうため、心を休められません。
夜、布団に入ってからも考え続けてしまい、眠れなくなることもあるでしょう。
不登校のことばかり考えてしまい、1日中気が休まらず、親も疲れてしまいます。
乗り切るための対処法
子どもの不登校を、どのように乗り切ればよいのでしょうか。
しんどいと感じている方が取り入れたい考え方を紹介します。
不登校がだめだと思わない
不登校はダメと考えていると、目の前にある現実を受け入れられません。
子どもの気持ちを否定したり、昼夜を問わず思い悩んだりすることになります。
不登校は、条件次第で誰にでも起こりうることです。
決して、ダメなことでも特別なことでもありません。
見方を変えれば、何かしらの理由で学校へ行けない子どもが、危機を回避するため選択した積極的な行動と捉えることもできます。
子どもが、エネルギーを充電して環境を整えるために設けた期間といえるでしょう。
子どもにとって、大切な時間になることもあります。
不登校がダメと決めつけないようにしましょう。
子どもの気持ちは理解しきれないと割り切る
不登校になった子どものことを、理解したいと考えている方が多いはずです。
一方で、子どものことを理解できず、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
親は、子どものことを完全に理解しなければならないと思いがちですが、親子とはいえ別の人間です。完全に理解するのは難しいでしょう。
考えなどが異なる場合は、理解しきれないと割り切ることも重要です。
子どもには子どもの考えがあることを理解し、尊重することが大切です。
自分の人生を大切にする
子どもが不登校になると、人生のすべてが不登校に関連することになりがちです。
子どものサポートで大変かもしれませんが、親の人生も大切にしましょう。
自分のせいで疲れている親を見ると、子どもは責任を感じてしまいます。 自己嫌悪に陥る子どももいるでしょう。
反対に、親がイキイキしていると、子どもは安心して休めます。
楽しそうにしている親を見て、人生の手本にしたいと考える子どももいるはずです。
忙しいかもしれませんが、ときには自分の時間を作ってみてはいかがでしょうか。
大変なときだからこそ、子どもも自分も大切にしましょう。
ポジティブに考える
物事をポジティブに考えることも重要です。
考え方を変えると、自分の環境が変わることがあります。
例えば、不登校を『子どもと向き合うための大切な時間』と捉え直してみてはいかがでしょうか。
物事を前向きに考えることで、行動が積極的になり、視野が広がることもあります。
不登校の子どもに何をしてあげるべきなのか
不登校になった子どもの多くは、親のサポートを必要としています。
親にできることは、子どもの話を否定せずにじっくり聴くことです。
傾聴を続けていると、親が理解してくれると感じて、子どもは安心します。
ただし、子どもの気持ちを無視して、無理に話をさせることはおすすめできません。
子どもからの信頼を失ってしまう恐れがあります。 家庭内の問題を見直すことも重要です。
文部科学省が発表している資料によると、不登校児童の13.7%が「親の関わり方」、9.3%が「家庭生活環境の急激な変化」を不登校のきっかけと回答しています。
子どもの気持ちを聞いたり、家族関係を調整したりすることで、家庭が子どもにとって居心地のよい場所になることがあります。
出典:文部科学省「不登校の要因分析に関する調査研究 報告書」
https://www.mext.go.jp/content/20240322-mxt_jidou02-000028870_02.pdf
不登校の子どもはしんどい
不登校の子どもも、親と同じようにしんどさを感じています。
不登校の子どもの不安
不登校の子どもは、多くの不安を抱えています。
文部科学省が発表している資料によると、学校を休んでいる小学生と中学生が、学校を休んでいる間に抱えていた主な不安は以下の通りです(割合は「あてはまる」と「すこしあてはまる」の合計)。
不安 | 小学生 | 中学生 |
勉強の遅れに対する不安があった | 63.8% | 74.2% |
進路・進学に対する不安があった | 47.0% | 69.2% |
自分のことが嫌で仕方なかった | 43.6% | 58.4% |
学校の先生たちがどう思っているか不安だった | 49.5% | 55.5% |
学校の同級生たちがどう思っているか不安だった | 64.4% | 71.6% |
家族がどう思っているか不安だった | 40.2% | 47.2% |
近所の人がどう思っているか不安だった | 25.1% | 27.9% |
出典:文部科学省「令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要」
https://www.mext.go.jp/content/20211006-mxt_jidou02-000018318-2.pdf
これらの不安でしんどい思いをしているといえるでしょう。
子どものしんどさは理解がされにくい
子どもが不登校になっても、基本的に外見は変わりません。
限界まで頑張っているにもかかわらず、怠けている、甘えているなどと叱責されることがあります。
辛さを理解してもらえないことも、しんどさの理由といえるでしょう。
脳バランスが乱れた状態のタイプは2つ
ストレスがかかったときや不安を感じたときの対応は、子どもにより異なります。
特徴により、行動タイプと引きこもるタイプに分けられます。
ここからは、これらについて解説します。
行動タイプ
ストレスや不安を感じると、活動的になるタイプです。
しんどさと向き合わないため、行動して気を紛らわせていると考えられます。
ただし、何かをしているうちに、すべてのしんどさが和らぐわけではありません。
問題が解決しない場合は、疲れて行動できなくなってしまいます。
活動的に過ごすため、周囲にしんどさを理解してもらえないタイプといえるでしょう。
引きこもるタイプ
ストレスや不安を感じると、考え込みがちなタイプです。
思い悩んでいるうちに、不安が強くなり、行動できなくなることがあります。
自分ではどうしようもないと諦めてしまうことがあるため、注意が必要です。
不登校は親も子どももしんどい
ここでは、不登校の子どもがいる親のしんどさについて解説しました。
子どもに気を使いすぎたり、環境を変えるため頑張り過ぎたりして、疲れてしまうことが多いといえるでしょう。
不登校の捉え方を変えることや子どもと適切な距離を保つことで、しんどさを解消できる可能性があります。
また、親と同じように、不登校の子どももしんどさを感じています。
共倒れになる恐れがあるため、家族だけで解決しようとしないことが大切です。
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