不登校になった子どもへの対応で、悩む方は少なくありません。
接し方がわからず、子どもとの関係がこじれてしまった方もいるでしょう。
不登校の子どもと接するときは、存在をそのまま受け入れることが大切です。
この点を意識することで、前向きな関係を構築できます。
ここでは、親が意識したい不登校の子どもへの対応、甘えと不登校の関係、不登校と親の関係などを解説しています。
子どもとの接し方でお悩みの方は参考にしてください。
不登校の子どもへの対応方法とは
不登校の子どもに、親はどう対応すればよいのでしょうか。
対応のポイントを解説します。
子どもの現状を受け入れる
不登校になった子どもをありのまま受け入れることが大切です。
言葉にすると簡単ですが、親には親の考えがあるため、実際に子どもと接すると徹底できないことが少なくありません。
参考に、意識したいポイントを紹介します。
強く励まさない、不登校のことを叱らない
子どものことを心配して、強く励ましてしまうことがあります。
一見すると正しい対応に思えますが、適切ではありません。
不登校になった子どもは、これ以上ないほど頑張っているケースが多いためです。
励ましよりも休息が必要といえるでしょう。
予想外の出来事に動揺して、子どもを叱ってしまうこともあります。
子どものことを思っての行動ですが、叱ることも控えるほうがよいでしょう。
傷ついている子どもをさらに傷つけたり、子どもから安心できる場所を奪ってしまったりする恐れがあります。
不登校になった子どもを、そのまま認めることが大切です。
学校に行くことを強制しない
自宅で過ごしている子どもを見ると「学校へ行きなさい」と言いたくなることがあるはずです。
このような言葉がこみあげてきても、言わないように心がけましょう。
学校へ行けないことに罪悪感を抱いている子どもを、追い詰めてしまう恐れがあるためです。
子どものペースで、焦らずに一歩ずつ進みましょう。
何でも話しやすい親になる
話したいときに、いつでも何でも親と話せると、子どもは安心感を抱きます。
親が理解してくれる、見守ってくれるなどと感じられるためです。
何でも話せる関係づくりを行うことが大切といえるでしょう。
基本のポイントは、子どもを否定しないことです。
また、相槌を打ったり、子どもの言葉を繰り返したりして、話を聴く姿勢を示すことも大切です。
家の中に居場所をつくる
過去の研究で、自分の居場所があると、精神的な安定を得やすくなることが示されています。
不登校になった子どもには、安心して心身を休められる居場所が必要です。
子どもが選択する居場所は、発達段階で異なる傾向があります。
小学生は「家族のいる居場所」、中学生と高校生は「自分ひとりの居場所」を好むと考えられています。
以上を参考に、家庭内に子どもが安心して過ごせる居場所を作ることを心がけましょう。
出典:J-STAGE「『居場所』の心理的機能の構造 とその発達的変化」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep1953/54/3/54_289/_pdf/-char/ja
友人と遊ぶ・連絡を取ることを勧める
心を許せる友人がいる場合は、適切なタイミングで連絡を取ることを勧めるとよいでしょう。
友人と話をすることで、気持ちが晴れることもあります。
ただし、いつも期待通りの結果が得られるとは限りません。
学校へ通っている友人と自分を比べて、子どもが落ち込んでしまうこともあります。
したがって、現在の状況を気にせず接してくれる友人を選ぶことが大切です。
例えば、同じくフリースクールに通う友人は境遇が似ているため、不登校であることを気にせずに付き合いやすいでしょう。
要因から遠ざける
不登校のきっかけや要因から遠ざけることも大切です。
これらが子どもの身近にあると、安心して心身を休められません。
物理的に遠ざけるだけでなく、心理的に距離を置くことも意識しましょう。
物理的に遠ざけても、きっかけや要因をいつも意識していると、心が休まらないためです。
親の過剰な質問によって、子どもにこれらを意識させてしまうこともあります。
心身ともに安心できる環境をつくることが重要です。
不登校が甘えではない理由と甘え依存タイプ
子どもが不登校になると「甘えているだけでは」「怠けているだけでは」と考える方もいます。
結論から述べると、不登校は甘えでも怠けでもありません。
文部科学省が発表した資料で、さまざまなきっかけ要因が示されていることからわかる通り、誰にでも起こりうる出来事です。
子どもが学校へ行きたくないといった場合も、甘えや怠けとは考えないほうがよいでしょう。
出典:文部科学省「不登校の要因分析に関する調査研究 報告書」
https://www.mext.go.jp/content/20240322-mxt_jidou02-000028870_02.pdf
甘えが理由の場合
不登校を甘えと捉えるのであれば、親に対する甘えといえるかもしれません。
不登校の子どもは、学校へ行かなければならないことはわかっていても、自分では動けない状態です。
一人で対処できないため、親に助けを求めていると考えることができます。
危機を回避するための、子どもの主体的な行動と捉えることができます。
甘え依存型の場合
不登校は、複数のタイプに分類されています。
この中に、甘え依存型を含めることもあります。
主な特徴は、自立心があまり育っていない、物事を最後までやり遂げた経験が少ないなどです。
人間関係の問題や学校での失敗がきっかけで、不登校になることがあると考えられます。
ただし、この場合も甘えだけで不登校になっているわけではありません。
不登校の分類にこだわり過ぎないほうがよいでしょう。
原因は親ではない
子どもが不登校になると「育て方に問題があったのでは」などと悩む親が多いようです。
家庭環境がきっかけになることもありますが、親の存在や子どもの育て方が不登校に直接結びつくわけではありません。
人間関係のトラブルや成績の低下、学級編成の問題など、さまざまな要因が不登校には関わっています。
環境次第では、どの子どもにも不登校が起こりうるものです。
自分自身を責めない
したがって、「子どもを不登校にしてしまった」などと自分を責めないことが大切です。
これまでの行動を後悔しても、現在の状況は変わりません。
親が自分を責めていると、子どもが責任を感じてしまいます。
気になる点がある方は、子どもとの関係を見直して、前向きな行動を始めるとよいでしょう。
子どもをサポートしながら、自分の人生も大切にすることが重要です。
親が生き生きと過ごしている姿は、子どもに安心感を与えます。
親だけで対処が難しい場合は、フリースクールなどの支援機関を活用するとよいでしょう。
不登校の専門家から支援を受けられるため、心身の負担が軽減されることが期待できます。
不登校の子どもを親と専門家でサポート
ここでは、子どもが不登校になったときの親の対応を解説しました。
不登校の子どもは傷つき、心身ともに疲労していることが多いと考えられます。
心身の回復を図るため、親がありのままの存在を受け入れることが大切です。
不登校の原因は、親や育て方に直接的な関係があるわけではありません。
そして、誰にでも起こりうることなので、自分を責める必要もありません。
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心理職の専門家が中心となり、子どもの自己効力感を高めるための支援を行っています。
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