「発達障害、グレーゾーンの子どもが不登校になった」「保護者ができる対応を知っておきたい」などと考えていませんか。

具体的な対応方法がわからず困っている方も多いでしょう。

子どもが不登校になった場合は、子どもの気持ちに寄り添いつつ接することが重要です。

ここでは、発達障害やグレーゾーンの子どもが不登校になる原因や保護者が意識すべき過ごし方、検討できる選択肢について解説します。

発達障害と不登校について理解を深めたい方は参考にしてください。

 

発達障害・グレーゾーンの子どもが不登校になったときの対応と過ごしかた

不登校になった子どもは、心身ともに疲れていると考えられます。

まずは、子どもが安心して休めるようにしましょう。

回復後は、好きなことに没頭できる時間を設けましょう。

子どもと話をする機会をつくることも大切です。

ただし、無理に話をさせることはおすすめできません。

子どもを追い詰めてしまう恐れがあります。

信頼関係を築きながら、子どもが話し始めるタイミングを待ちましょう。

 

不登校や行き渋りのきっかけ

文部科学省が発表している資料によると、不登校児童生徒が回答した不登校の主なきっかけは以下の通りです。

不登校のきっかけ要因 割合
不安・抑うつの訴え 76.5%
居眠り、朝起きられない、夜眠れない 70.3%
体調不良の訴え 68.9%
宿題ができていない等 50.0%
学業の不振 47.0%
ゲーム・スマホへの依存、依存傾向 42.3%
感覚の過敏さ 40.3%
制服、給食、行事等への不適応 38.6%
成績の低下 37.9%
教職員への反抗・反発 35.9%
あそび、非行 30.3%
親子の関わり方 27.3%
進路に関わる不安や問題 27.0%
いじめ被害 26.2%
学級編成等の問題 24.9%

出典:文部科学省「不登校の要因分析に関する調査研究 報告書」
https://www.mext.go.jp/content/20240322-mxt_jidou02-000028870_02.pdf

さまざまな要因が不登校のきっかけになっています。

誰にでも起こりうる出来事といえるでしょう。

 

発達障害・グレーゾーンの子どもの不登校

不登校の子どもの中には、発達障害の子ども、グレーゾーンの子どももいます。

宇都宮市教育センターが発表している資料によると、同センターを受診した57%の不登校児が発達障害を有していました。

87%が不登校になってから発達障害と診断された点もポイントです。

また、不登校のきっかけとして対人関係の問題が多いことも示されています。

発達障害、グレーゾーンと不登校は、密接にかかわっている可能性があります。

出典:J-STAGE「不登校と発達障害:不登校児の背景と転帰に関する検討」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn/49/4/49_255/_pdf/-char/ja

 

発達障害・グレーゾーンで不登校になった子どもとの過ごし方

発達障害・グレーゾーンで不登校になった子どもとどのように過ごせばよいのでしょうか。

保護者が意識したいポイントを解説します。

 

休むことも大切だと伝える

「学校を休みたい」と簡単にいえる子どもは多くありません。

勇気を振り絞って、保護者に気持ちを打ち明けている可能性が高いと考えられます。

悩みに悩んで疲れ切っていることが多いため、休養の重要性を伝えて、学校への復帰を意識しなくてよい状態にすることが大切です。

家庭内で子どもが安心できる居場所をつくりましょう。

 

不安や悩みを聞く

子どもが不安や悩みを相談できるようにしておくことも欠かせません。

ポイントは、子どもの気持ちを優先することです。

話したくないことは話さなくてよいと伝えておくと、安心して不安や悩みを打ち明けられます。

自分の興味、関心を優先しないようにしましょう。

 

生活リズムを崩さない

生活リズムを崩さないようにサポートを行うことも大切です。

具体的には、早寝早起きを促したり、日中にできる範囲で家事を手伝ってもらったりすることが考えられます。

不登校になると、学校へ行っていない罪悪感を軽減するため、就学時間に寝て、夜間に行動する夜型の生活パターンになるケースが少なくありません。

昼夜が逆転すると、学校への復帰が難しくなります。

必要なサポートを行って、これまで通りの生活リズムを保ちましょう。

 

不登校になる原因の発達障害

不登校と関わりが深い発達障害は以下の通りです。

【不登校と関わりが深い発達障害】

  • ASD(自閉症スペクトラム症)
  • LD(学習障害)/SLD(限局性学習障害)
  • ADHD(注意欠如・多動性障害)

ここでは、これらの発達障害が学校生活に与える影響を解説します。

 

ASD(自閉症スペクトラム症)の場合

社会的なコミュニケーションが苦手です。

具体的には、人間関係を築き維持することや非言語的なコミュニケーションが苦手です。

また、自分なりの強いこだわりももっています。

したがって、クラスで孤立するケースや周囲からからかわれるケースが少なくありません。

 

LD(学習障害)/SLD(限局性学習障害)の場合

文部科学省は、LD(学習障害)を以下のように定義しています。

全般的に知的発達に遅れはないが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりすることによって、学習上、様々な困難に直面している状態

引用:文部科学省「(8)学習障害」

LD(学習障害)は、現在SLD(限局性学習症)と呼ばれています。

学習に必要な特定の能力を習得したり発揮したりするのが難しく、自己肯定感やモチベーションが低下しやすいとされています。

 

ADHD(注意欠如・多動性障害)の場合

集中が続かない、じっとしていられない、考えるより先に体が動いてしまうといった特性があります。

これらにより、学校生活で繰り返し注意を受けて、問題児扱いされるケースが少なくありません。

周囲から正しく理解されず、適切に評価されないことで、自己肯定感が低下することがあります。

 

発達障害で子どもが不登校になった場合に必要な親の対応とは

発達障害で子どもが不登校になった場合、保護者はどのように対応すればよいのでしょうか。

ここでは、保護者が心がけたい対応を紹介します。

 

担任の先生やスクールカウンセラーと連携をとる

担任の先生を窓口として、学校と連携しながら対応しましょう。

連携により得られる主なメリットは以下の通りです。

【連携のメリット】

  • 校内での子どもの様子がわかる
  • 宿題をはじめとする提出物を確認できる
  • 学校で受けられるサポートを把握できる

連携をとることで、不登校になった子どもをサポートしやすくなります。

学校によっては、スクールカウンセラーに相談することもできます。

スクールカウンセラーは、臨床心理の知識を活かして生徒や保護者、教職員を支援する専門家です。

専門的な支援を必要としている場合は、活用を検討するとよいでしょう。

 

公的機関や専門家に相談する

学校以外の公的機関や専門家に相談することもできます。

一例としてあげられるのが児童相談所です。

発達障害をはじめとする子どもの問題を幅広く相談できます。

発達障害支援センターは、発達障害のある子どもや成人への総合的な支援を行っています。

地域の支援ネットワークなどを活用しながらサポートしてくれる点がポイントです。

学校以外に相談したい方は、これらの公的機関を活用するとよいでしょう。

 

発達障害で不登校になった後の選択肢

次に、発達障害の子どもが不登校になった後に検討できる選択肢を紹介します。

 

学校に復学する

基本の選択肢は、通っている学校への復帰といえるでしょう。

ただし、原因を取り除けていないと、再び不登校になる恐れがあります。

身近な選択肢ですが、実現するには困難なこともあります。

子どもの気持ちを踏まえて、選択することが大切です。

 

フリースクールや特別支援学級などの学校以外の場所を利用する

学校以外の場所を利用することもできます。

具体的な選択肢として、フリースクールがあげられます。

フリースクールは、不登校の子どもに学習や体験活動、教育相談を提供する民間施設です。

自分のペースで勉強できる、学校や家庭以外の居場所をつくれる、要件を満たせば出席扱いになるといったメリットがあります。

あるいは、特別支援学級の活用も考えられるでしょう。

特別支援学級は、障害による学習上、生活上の困難を克服するために学校内に設けられた学級です。

 

転校する

転校も、不登校後に検討できる選択肢の一つです。

現在の環境から離れることで、不登校の原因によっては学校へ戻れる場合があります。

例えば、人間関係に悩んでいる場合は有効な選択肢になるかもしれません。

ただし、転校するだけでは根本的な問題が解決しない場合もあります。

転校後の学校生活をよく考えてから選択することが重要です。

 

家庭教師を利用する

勉強の遅れを気にしている場合、家庭教師の利用を検討するのも一つの方法です。

主なメリットは、子どものペースに合わせて指導を受けられる点です。

さらに、発達障害の特性を理解したうえで指導を受けられる場合もあります。

家庭教師を利用する場合は、子どもと相性のよい担当を選ぶこと、発達障害の子どもに対する指導経験がある担当を選ぶことが大切です。

 

発達障害で不登校になったときは専門的な支援の利用を検討

ここでは、発達障害と不登校について解説しました。

不登校の原因はさまざまですが、特性により人間関係の問題を抱えるケースが多いといえます。

ゆっくり休める環境を整えて、子どもの話に耳を傾けることが大切です。

学校への復帰が難しい場合は、フリースクールなどの活用を検討するとよいでしょう。

アソマナ学園フリースクールでは、自己効力感の向上を目指して、不登校や発達支援の学習支援を行っています。

卒業生の約9割が、自分の意思で学校復帰を選択している点も注目すべきポイントです。

興味をおもちいただいた方は、お気軽にご相談ください。