不登校のお子さまの教育環境を探る中で、「不登校特例校」と「フリースクール」という選択肢について調べている方も多いのではないでしょうか。
どちらも従来の学校とは異なる特色を持ちますが、法的位置づけや運営方法・卒業資格など、さまざまな違いがあります。
それぞれの特徴を理解することで、お子さまに最適な学びの場を選べるでしょう。
本記事では、不登校特例校の基本的な特徴と、フリースクールとのおもな違いについて詳しく解説します。
ぜひお子さまの状況や希望に合った学びの場を選ぶ際の参考にしてください。
不登校特例校とは?
不登校特例校とは、不登校状態の児童・生徒の学習を特別に支援するために設置された公立または私立の学校を指します。
正確には「不登校児童生徒を対象とする特別の教育課程を編成して教育を実施する学校」と呼ばれるものです。
通常の学校と比べ、個別指導や少人数制、フレキシブルな時間割などを導入し、生徒1人ひとりに合わせた学びを提供するのが特徴です。
また、教員やカウンセラーが心のケアを積極的に行うなど、安心して通える環境を整備していることもポイントです。
多様な事情を抱える子どもたちが無理なく学習を続け、将来に向けた選択肢を広げるための新しい形の学校といえます。
不登校特例校の特徴
不登校特例校は、多様な学習スタイルを取り入れたり、少人数制を活用したりと、一般的な学校とは異なる独自の取り組みを行っています。
以下5つのおもなポイントを押さえましょう。
- 学校独自のカリキュラムがある
- 不登校への理解がある
- 授業時間が少ない傾向がある
- 生徒主体で学習ペースを選べる
- 体験学習を重視している
詳しく解説します。
関連記事:中学生の勉強の遅れを取り戻すには?効果的な学習法を紹介
学校独自のカリキュラムがある
不登校特例校では、生徒1人ひとりの興味や学習状況に合わせた独自のカリキュラムを用意している場合が多いです。
たとえば、通常の教科学習だけでなく、芸術やスポーツ、地域活動などを積極的に取り入れる学校もあります。
こうした活動を通じて、学ぶ楽しさや達成感を味わいながら、従来の学校生活では得られなかった経験を積めるのが大きな魅力です。
学びの枠を広げることで、子どもたちは自分の得意分野を見つけやすくなり、将来の選択肢が増えるきっかけになるでしょう。
学力面でも個別指導や少人数授業を行う学校が多いため、苦手科目を重点的に克服しやすい環境が整っています。
不登校への理解がある
不登校特例校では、生徒が学校へ行けなくなった背景や理由を受け止める姿勢が重視されています。
たとえば、教職員がカウンセリングやコミュニケーション研修を積極的に受け、子どもの心のケアに配慮している学校もあります。
従来の学校では「欠席=悪いこと」というイメージが強まることも。
しかし、不登校特例校では「まずは安心して通える場を作る」ことを大切にしています。
こうした理解ある環境であれば、生徒は「自分の気持ちが受け入れられている」と感じやすくなるため、学習や人間関係にも前向きに取り組めます。
授業時間が少ない傾向がある
不登校特例校の中には、あえて授業時間を短めに設定している学校があります。
これは、長時間の授業に耐えられない状況にある子どもたちに配慮し、少しずつ学校生活に慣れてもらうための工夫です。
授業時間を短縮することで、子どもが負担を感じずに通い続けられるよう配慮し、登校日数を増やすきっかけにする狙いがあります。
また、空いた時間を使って課外活動や個別指導を行い、その子に合わせた学びを提供する学校も。
結果として、無理のない範囲で学習ペースを取り戻すことで学校に対する抵抗感を減らし、前向きな気持ちで過ごせるよう期待できます。
生徒主体で学習ペースを選べる
不登校特例校では、生徒自身が学習ペースや取り組む課題をある程度選択できる仕組みを整えている学校が多いです。
これは、生徒が抱える学習遅れや苦手分野、心の状態に配慮するための大きな特徴といえます。
たとえば、得意科目はどんどん先へ進める一方、苦手科目は個別サポートを受けながら学ぶといった柔軟なスタイルをとれます。
学習進度だけでなく、登校時間や休憩のとり方なども生徒が選べるケースがあり、「学校に行かなければ」という強制感が薄らぐのもポイントです。
自分に合ったペースを見つけやすい環境が整っているため、学習に対するモチベーションの維持や心身の負担軽減につながりやすいのが魅力です。
体験学習を重視している
不登校特例校では、教室での勉強に加えて体験学習の機会を積極的に取り入れることが多いです。
たとえば、地域との連携活動や自然体験、職場見学など、実社会や実生活に結びつく学習を重視。
これにより、座学だけでは得られない達成感や興味を刺激でき、子どもたちは「学ぶことは楽しい」と再認識するきっかけになります。
さらに、実際に手や体を動かすことで、学習に対するストレスが軽減されることもメリットの1つです。
学習意欲が薄れている状態でも、新しい体験を通じて少しずつモチベーションを回復できるのは、不登校特例校が持つ大きな魅力でしょう。
不登校特例校とフリースクールの違い
不登校特例校とフリースクールは、どちらも不登校の子どもが安心して学ぶための場ですが、設置形態や学習方法に特徴があります。
以下5つの違いを見比べてみましょう。
- 転校の考え方
- 出席の扱い方
- 費用
- 場所
- 卒業に関する書類の扱い方
それぞれ見ていきます。
関連記事:適応指導教室とフリースクールの違いをわかりやすく解説
転校の考え方
不登校特例校は、正式に「学校」として認められているため、転校という形で在籍を移すことが一般的です。
公立の特例校の場合、住んでいる地域によって受け入れ条件や方法が異なることもあるため、教育委員会や学校側に事前に相談しておく必要があります。
一方、フリースクールは必ずしも「学校」とはみなされないケースが多く、現在の学校に籍を置いたまま利用する形が一般的です。
したがって、転校という概念よりは「通所先を変える」イメージが近いかもしれません。
フリースクールへの通学は、柔軟な対応が期待できる反面、公的な枠組みのサポートを十分に受けられない場合があります。そのため、事前に各施設の方針を確認しておくと安心です。
出席の扱い方
不登校特例校では、在籍する学校と同様に出席日数がカウントされるため、学校に通っているという公的な扱いを受けられます。
結果、進級や卒業に必要な出席日数を満たしやすい点が特徴です。
特例校によってはオンラインや個別学習の時間も出席として認めるケースがあり、柔軟に登校できる環境が整えられています。
一方、フリースクールの「出席扱い」について、2019年の文部科学省通知により全国的に整備されました。
この通知では、一定の要件を満たすフリースクールなどでの学習活動は、校長の判断により出席扱いとすることが認められています。
この要件を満たしているかは施設によって異なるため、事前に確認することが重要です。
費用
不登校特例校は公立の場合、授業料が基本的に無料で、通常の学校と同じような費用負担で通えます。
ただし、独自のカリキュラムや特別な活動が多い学校では、教材費や体験学習費が発生する場合も。
一方、私立の特例校に通う場合は授業料や施設利用費などが必要となるため、経済的な負担が大きくなることも。
フリースクールは、大抵の施設が私設で運営されているため、月額費用や入会金が設定されているケースが多いです。
利用時間帯やプログラム内容によっても料金が異なるため、子どものニーズや家計に合った場所を選ぶことが大切です。
公的補助や助成金を利用できる場合もあるため、各自治体の情報を確認すると負担軽減につながります。
場所
不登校特例校は公立・私立を問わず特定の地域に設置されているため、自宅から通学できる範囲かを確認する必要があります。
場合によっては住む地域から離れた学校を選ぶ生徒もおり、下宿や寮などを利用するケースもあるようです。
一方、フリースクールは地域密着型の小規模施設から、全国に拠点を持つ大規模な団体までさまざまです。
自宅近くで探すことも可能ですが、中にはオンラインでの学習サポートを行うフリースクールも存在します。
ただし、学校としての認可を受けていないフリースクールの場合は、地域や自治体のサポートが得られない場合も。
交通費の負担や通学時間などの現実的な問題も考慮しながら選ぶ必要があるでしょう。
卒業に関する書類の扱い方
不登校特例校を卒業すると、在籍していた学年相当の「卒業証明書」などが発行されます。
これは高校入試やそのあとの進学手続きにおいても、公的に認められた証明として利用できます。
一方フリースクールの場合、学校という扱いではないことが多いため、卒業証明書が発行されないケースがほとんどです。
在籍している公立中学校や教育委員会と連携し、フリースクール通学中の学習状況をどのように評価してもらうかがポイントです。
場合によっては、通信制の併設校と連携して卒業資格を取得できるプログラムを提供しているフリースクールもあります。
将来的にどのような進路を考えているかによって、適切な選択肢を絞り込むとよいでしょう。
まとめ
不登校特例校とフリースクールにはそれぞれ異なる利点がありますが、大切なのはお子さまに合った学びの場を選ぶことです。
もし学校以外の学びを検討されている場合、東京都フリースクール等利用者支援事業(助成金)対象の認定フリースクール「アソマナ学園」をご検討ください。
「海の自然学校」が前身となる独自のプログラムに加え、ICT教材「すらら」やプログラミング学習を取り入れ、安心して通える環境を整えています。
学びと心の発達をサポートし、1人ひとりの成長を無理なく支援いたします。