不登校の中学生の将来が不安!リスクや卒業後進路の統計、対処法を紹介

中学生で不登校だからといって、それで将来が決まってしまうわけではありません。中学校で過ごす時間はたったの3年間です。卒業してからの時間のほうがずっと長く続いていきます。

とはいえ、「不登校」という状況は親御さんもお子さんも不安があるもの。学校に行かない期間が長くなればなるほど、心配も大きくなっていきますよね。

でも、不登校だからといって、将来を悲観することはありません。文部科学省の調査によれば、不登校の中学生の9割以上が進学・就職をしていることがわかっています。

この記事では、統計をもとにした中学生の不登校の実態や、将来のリスク、不登校経験者が感じている後悔や対処法について解説します。

「中学生」は不登校が最も多くなる時期

小中高すべての過程で不登校の生徒数は年々増加傾向にあるといわれていますが、中でも不登校が最も多くなる時期が、「中学生」です。

出典元:令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について(文部科学省)

文部科学省が行った「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」のデータによれば、不登校の生徒数は小学校低学年から学年が上がるにつれて多くなり、中学生でピークとなります。

その後、高校に進学すると不登校は減りますが、これは留年や中途退学をするケースがあるためです。

不登校の中学生に考えられる将来のリスク

不登校だと、将来的にどのようなリスクが考えられるのか、詳しく見ていきましょう。

人間関係を築くのに苦労しやすい

学校は、学力を身につける場所であると同時に、友達や先生とのコミュニケーションを通し、社会性や協調性を身につけるための場所でもあります。

不登校になると、周囲の人とコミュニケーションを取る機会が少なくなるため、十分なコミュニケーション能力を育めない可能性があります。

仕事は、一人ではなく同僚や上司と協力して進めていく場面がほとんどです。うまくコミュニケーションが取れないと人間関係を築くのに苦労するかもしれません。

進学や就職で不利になる

不登校になりきちんと授業を受けられないと、学力面の遅れも生じます。学力が不足していると、進学や就職などその後の進路で選択肢が制限されてしまうことも少なくありません。

中卒でもできる仕事はたくさんありますが、就職先の選択肢を増やしたいと考えているのであれば「高卒」や「大卒」などある程度学歴があったほうがいいでしょう。

体力・筋力の低下

不登校で家にいることが増えると、運動不足になり、体力や筋力が低下してしまいます。疲れやすいため働き始めても体力が追いつかず、つらくなってしまうこともあるようです。

体力や筋力の低下は健康にも影響する部分です。ハードな運動をする必要はないので、散歩やランニング、好きなスポーツなどで体を動かす機会をつくるのがおすすめです。有酸素運動は落ち込んだ気分や不安を改善し、ストレスホルモンを正常化するとされているため、気持ちもすっきりしてくるでしょう。

将来、ニートや引きこもりとなる可能性が高まる

徳島大学とNPO法人全国引きこもりKHJ親の会が発表した「引きこもりの実態に関する調査報告書⑦」によれば、引きこもりになった方の50.9%に不登校の経験があることが明らかになっています。

近年では40代や50代の引きこもりも問題となってきています。焦る必要はありませんが、引きこもりを予防するためにも対策を行っていくことが大切です。

不登校の中学生の卒業後の進路について

文部科学省が発表した「不登校に関する実態調査 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~」によれば、不登校生の中学校卒業時点での進路状況は以下のようになっています。

  • 就職せずに高等学校等に進学した…80.9%
  • 高等学校等に進学せずに就職した…6.0%
  • 就職して働きながら、高等学校等に進学もした…4.2%
  • 高等学校等に進学もせず、就職もしなかった…8.4%

中学生で不登校というと「高校に進学できないんじゃないか」「就職できないんじゃないか」という不安を感じる方も多いかもしれません。しかし、実際には9割以上が進学・就職をしていることがわかります。

不登校の経験者が後悔していること

中学校が不登校でも、進学や就職はできます。しかし、「不登校に関する実態調査 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~」の調査からは「行けばよかった」と後悔している子どもが最も多い(37.8%)こともわかっています。

不登校の経験者が後悔していることを、いくつか見てみましょう。

  • 進みたい進路に進めなかった
  • 進学先で勉強についていけていない感覚がある
  • もっと友達を作ればよかった
  • 学校の楽しい思い出がなく、今の友達と中学時代の話ができない
  • 中学生の時代にしか体験できないことをもっとやっておけばよかった

一方で、「しかたがなかった」と考えている子どもも30.8%、「行かなくてよかった」と考えている子ども11.4%います。

  • 不登校はつらかったけど、乗り越えたことで自分に自信が持てるようになった
  • 自分を見つめ直す機会になったと思う
  • 不登校になったことで支えてくれる親や友達、先生の大切さを実感した
  • 人とは違う経験をしたことで、視野や広がった
  • 不登校などで悩んでいる人など、人の痛みが理解できるようになった

不登校の中学生の将来のための対処法

ここからは、不登校の中学生の将来のために考えられる対処法についてご紹介します。

学校以外の居場所をつくる

学校に通うのがつらいときは、学校以外の居場所を作るのも一つの方法です。フリースクールや通信制高校など、選択肢はいくつもあります。習い事など、自分の好きな趣味の場所でもいいでしょう。

いま通っている学校が世界のすべてではありません。社会性やコミュニケーション能力は学校でなくとも学ぶことができますし、勉強もフリースクールや塾などで学力を身につけることもできます。

人間関係、異性関係、いじめ、先生との問題など、中学生の子どもが不登校になる原因はさまざま。中には、すぐに向き合って解決することが難しい問題もあります。

学校以外の居場所をつくることは子どもの視野や可能性を広げることになり、また、「居場所がある」という安心感にもつながるでしょう。

世の中には、子育てが落ち着いた50歳になってから大学に通う人もいますし、80歳を過ぎてから海外留学をする方もいます。中学生はまだたった13〜15歳。何かを始めるのに遅いということはまったくないので、自分の居心地のいい場所、楽しく生き生き過ごせる場所を見つけてみましょう。

子どもが罪悪感を感じないようにする

不登校になるのは、お子さんのせいでもなければ、保護者の方のせいでもありません。しかし、不登校生の中には、周りの友達と自分を比べて劣等感や罪悪感を感じている子どもは多いです。

罪悪感を感じ、自分を責めると、どんどん自信がなくなり、自己肯定感が下がってしまいます。

また、「親を心配させている」ことに対して自分を責めてしまう子どももいます。心配のあまり親が過干渉になると、子どもの罪悪感が強くなってしまう可能性も。

「学校に行っても行かなくてもいいよ」「学校に行かなくても将来仕事をして自立することはできる」など、長い目で子どもの将来を見守るようにするといいでしょう。

理解者になり、大切な存在であると伝える

中には「自分でも自分の気持ちがわからない」という子どももいます。また、思春期の時期なので、親御さんに素直に気持ちを伝えられないこともあるようです。

そのような状態があることを理解し、その上で少しずつこれからの将来の話などをしていくといいでしょう。

そして、「ありのままのあなたが大切」「あなたを大切に想っている」ということを言葉で明確に伝えましょう。

将来について不安を感じているのは子どもも同じ。学校に行けないことで「自分の将来はどうなってしまうんだろう」と悩みを抱えている子も多いです。

自信を無くし自分に価値を感じられなくなっているとき、それでも寄り添ってくれる存在がいることは大きな安心感につながります。

自分を責めすぎない

親御さんが自分を責めすぎたり、心配しすぎたりすることは、逆効果になりやすいです。それ自体が子どものプレッシャーになってしまうからです。

どこにも出かけずに子どものことばかり考えるのではなく、親御さん自身が自分の人生を楽しむことも大切です。

また、家族だけでの解決が難しいと考えられる場合は、自分の力だけで解決しようとせずに専門家や第三者を頼りましょう。

まとめ

不登校になると、どうしても将来の不安を感じてしまうものですが、実際は多くの子どもたちが進学・就職しています。

しかし、進学や就職で不利を感じる場面や、学校や友達との思い出が作れないなど、不登校を後悔している子どもがいることも事実。今の学校に通うことが難しいのであれば、フリースクールなどに通うのも一つの方法です。

アソマナ学園』は、アソび(運動)とマナび(勉強)を通して“未来の自分創り”をするフリースクールです。

学年に関係なく学力に応じた学習ができる無学年方式なので、授業についていけないお子さんも自分のペースで学ぶことができます。また、学校と連携を取ることで不登校でも出席日数扱いとなるため、進学も心配ありません。

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