身体的にも精神的にも、大人へと成長していく時期である思春期。中学生は多感な時期であるため、不登校になってしまう子どもも少なくありません。
文部科学省による「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」を見ると、全中学生の人数3,244,958人に対し、不登校の生徒は132,777人。割合にして4.1%と、中学生は不登校が多くなる時期でもあります。
しかし、不登校になる原因はさまざまです。この記事では、中学生女子が不登校になる原因やきっかけ、不登校になりやすい中学生女子の7つのタイプなどについて詳しく解説していきます。
中学生女子が不登校になる原因は一人ひとり異なる
ニュースなどを見ると、学校でのいじめなどの問題を目にすることもあります。しかし、不登校になる原因は一人ひとり異なります。
いじめや友人関係・人間関係に問題がない場合でも、不登校になってしまうことがあるのです。つまり、誰でも不登校になる可能性があります。
原因によっては、親御さんが解決するのが難しい問題もあるかもしれません。中には、「どうして学校に行きたくないのか、不登校になったのか自分でもよくわからない」という子どももいるためです。
どんなことがあって娘さんが「学校に行きたくない」と思っているのか、原因を知れば一歩を踏み出すサポートがしやすくなるケースもありますが、逆に娘さんを追い詰めてしまう可能性もあるため、注意しなければなりません。
原因の解決以上に「お子さんが自ら一歩を踏み出す」タイミングを待ってあげることが大切です。
中学生になると不登校になる生徒が増えるのはなぜ?
小学生・中学生・高校生の中でも、最も不登校になる生徒数が多いのが中学生の時期です。
小学校と中学校では、勉強の内容も難しくなります。また、生徒数の増加に伴ってクラス数が増え、関わる人の数が増えます。遅れないようにしっかり勉強をしながら、新しい人間関係の構築もしなければなりません。
小学生の頃には「お姉さん」「お兄さん」という存在でしたが、中学生になると「先輩」に関係が変化し、進級すれば「後輩」ができます。学級担任制から教科担任制に変わることで、先生との関係にも変化があるでしょう。
このように、中学生の時期はたくさんの変化が起こります。新しい環境に上手く対応できず、その結果、不登校になってしまう子も多いです。これを、「中1ギャップ」と言います。
しかし、中1ギャップを乗り越えた子どもも、「中2の壁」によって不登校になってしまうことがあります。小学生気分が抜けて、やっと中学校に馴染んできた中学2年生になった頃に起きやすくなるのが、友人関係の問題です。
近年では、インターネットが発達した影響により、SNSを通じた友人関係のトラブルも見られるようになってきています。
中学生女子に多い不登校の原因・きっかけ3つ
文部科学省が発表した「不登校の現状に関する認識」によれば、子どもが不登校になった直接のきっかけは以下のようになっています。
- 学校生活に起因……36.2%
- 本人の問題に起因……35.0%
- 家庭生活に起因……19.1%
- 不明……5.5%
- その他……4.3%
ここからは「不明」と「その他」を除いた3つの原因についてご紹介します。
学校生活に起因する原因
不登校になったきっかけとして最も多いのが、学校生活に起因する原因で、全体の36.2%を占めています。具体的には、以下のような原因です。
- 友人関係をめぐる問題
- 教師との関係をめぐる問題
- 学業不振
- 部活動やクラブ活動に馴染めない
- 学校の決まりなどをめぐり問題
- 入学・転編入学・進級時の問題
中学校女子が不登校になる原因の一つに、同級生など友達との関係をめぐる問題があります。中学生になると、小学生の頃以上に仲良しのグループで一緒に過ごすことが多くなりますが、小さなきっかけからグループから外されてしまったり、孤立してしまったりすることも少なくありません。
いじめではない場合でも、疎外感を感じてつらくなり、学校に行けなくなってしまうというケースもあります。また、教科ごとに異なる教師との関係、部活動やクラブ活動も不登校の理由として考えられるでしょう。
頭髪や衣類など、厳しい規則のある学校の場合、決まりに上手く馴染めずに不登校になってしまうというケースもあるようです。
本人の問題に起因する原因
次に多いのが、本人の問題に起因する原因です。具体的には、病気によるものや、その他本人に関わる問題です。
前述の通り、不登校になった中学生女子の中には、「自分でも不登校になった原因がわからない」という子もいます。不登校になるからには何かしらの原因があるはずですが、それが自分でもわからず、戸惑っている状態です。
また、進路への不安から不登校になってしまう子どももいます。中学生になると、勉強が難しくなり、試験も増え、小学生の頃はあまり意識することのなかった「成績の良し悪し」に目を向けなければならない状況になります。
「友達は勉強ができるのに、私はできない」「行きたい学校にも行けないかもしれない」「いい人生を送れないかもしれない」など、考え込み、負い目を感じてしまうのです。
家庭生活に起因する原因
家庭環境が不登校のきっかけとなっているケースもあります。
たとえば、生活環境が急激に変化して、それに上手く適応できず、不登校になってしまう。親子関係の問題や家庭内の不和から、学校に行かなくなってしまうなどです。
不登校になりやすい中学生女子の7つのタイプ
不登校になりやすい中学生女子は、以下の7つのタイプに分けられます。各タイプに合わせたフォロー、サポートを根気よく続けていくことが大切です。
ご家族だけで解決しようとせず、専門家に相談することも選択肢に入れ、じっくりと娘さんに向き合っていきましょう。
母子分離不安型タイプ |
親から離れることや、中学生活に不安や恐怖を感じている |
情緒混乱型タイプ |
気分の落ち込みや混乱が強いタイプ。腹痛や頭痛などの身体症状が起こることもある |
混合型タイプ |
落ち込んでいるときはあるが、楽しいことや自分の好きなことはできる。逃避的傾向が強く、甘えがある |
無気力型タイプ |
中学校に登校することへの義務感が少なく、何事にも無気力 |
人間関係タイプ |
友人関係、いじめ、転校など人間関係の問題がある |
ストレスによる神経症があるタイプ |
こだわりが強く、自分の世界にこもりがち。神経症状や精神疾患の初期症状が見られることがある |
発達障害・学習障害があるタイプ |
学習障害、発達障害などが関連している
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不登校の中学生女子への接し方・対策
中学生女子のお子さんが不登校になってしまった際は、親御さんの接し方が大切です。対策や対応方法はいくつもありますが、中でも大切なのが以下の2点です。
- 学校に行かないことを認めてあげる
- 子どもの好きなことをやらせてみる
学校には行けないのに家でテレビを見たりゲームをしたり、スマホを見ていたり。親御さんからすると「甘えている」「怠けている」ように見えてしまうかもしれませんが、娘さんは学校に行きたくないのではなく「つらくて、学校に行けない」状態であることを認めてあげましょう。
「無理に学校に行かなくていいよ」と、言葉でしっかりと学校に行けないということを認め、意志を尊重してあげることで、心が楽になり、安心できます。親に認められることで、子どもから相談もしやすくなります。
また、娘さんに趣味などがあれば、やらせてあげましょう。不登校になってしまうと自己肯定感が低下してしまう子どもも少なくありません。趣味を通じ、自信をつけてあげることも大切です。
まとめ
思春期に差し掛かる中学生の時期は、とても多感な時期です。大人では理解できないようなことで悩んだり、中学校に行けなくなったり、つらくなってしまうこともあります。
しかし、中学校が人生のすべてではありません。中学生活が上手く行かなくても、未来は広がっており、たくさんの選択肢があります。焦り過ぎず、娘さんとじっくり話をしながら、自発的に一歩を踏み出すのを待つ必要があるでしょう。
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